男性不妊の治療(精子形成障害)
男性不妊の原因としては、およそ8割が精子の製造部分にあるといわれています。つまり、精巣(睾丸)です。その他の原因としては、精子の輸送経路に障害があったり、セックスに関する障害(性機能障害)などです。
ここでは、精子の製造過程の障害(精子形成障害)についてくわしく見ていきます。
(男性不妊の治療〜無精子症〜)
無精子症とは、精液の中に精子が存在しないことをいいます。精液と精子は別で、セックスで精液が出ても、その精液の中に精子が存在しないことがあるのです。
精管が詰まっているような場合、精液の中に精子が見つからないことがあります。この場合は、精巣精管造影という検査を行い、精管の通り具合を調べます。もしも詰まっている様子が確認できたら、その詰まりを取り除く手術を行います。
無精子症とは、上記のように、精子の製造そのものには問題がなく、ただそれが精液の中に輸送されないだけ、というケースもあるわけです。こうしたケース、つまり、精巣上体や精巣の中になら精子がちゃんとある場合、この精子を使って顕微授精することもあります。
(男性不妊の治療〜奇形精子症〜)
精液中の精子を調べたとき、正常な形態の精子の割合が全体の30%未満の場合、つまり、それ以外は奇形の精子である場合、奇形精子症と診断されます。
奇形精子症だと、妊娠率が低くなります。
現在の医療では、奇形精子の奇形を治すことはできません。したがって、奇形でない正常な精子を取り出し、これを使って体外受精や顕微授精を行います。
なお、奇形精子症と診断された人は、この奇形精子と卵子が受精すると、奇形児が生まれることもあるのではないか、と心配する人もいるでしょう。しかし、奇形精子には、そもそも受精能力がないのです。したがって、そういう心配は不要です。
(男性不妊の治療〜乏精子症〜)
乏精子症とは、精液中の精子の数が欠乏していることです。
世界保健機関(WHO)の定義では、精液1ミリリットル中の精子数が2000万個以下になると、乏精子症ということになります。
乏精子症の治療には、薬物療法やタイミング指導が行われます。また、人工授精(配偶者間人工授精)を行うこともありますが、乏精子症が重度の場合には、体外受精や顕微授精を行います。
(男性不妊の治療〜膿精子症〜)
精液中に増加した白血球が、精子を不動化させたり、精子の受精能力を低下させたりする症状です。
膿精子症は、前立腺や精嚢(せいのう)の炎症が原因になっていることもあり、こうした炎症を治療するために、抗生物質や漢方薬を投与したりします。
(男性不妊の治療〜精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)〜)
精索静脈瘤とは、精巣(睾丸)から腎臓へ向かう静脈の弁がきちんと機能しないで、血液がとどこおり、精嚢の温度が上がっていき、その結果、精子が死んでしまったり精子の運動率が悪くなったりする病気です。
精索静脈瘤の場合、陰嚢の表面に瘤(こぶ)のようなかたまりができます。そして、この瘤は、ほとんどが左側にだけできます。
精索静脈瘤の治療には、手術が必要です。ただ、手術をしたからといって精子が元通りになるとは限りません。そういうわけで、実際的には、とりわけ年齢が上がるにつれて、体外受精や顕微授精を行うことが多くなるようです。
