女性不妊の治療(概略)

女性の不妊症を治療するには、まず、各種検査を行い、不妊の原因を特定します。そして、それにあった治療法を選択していきます。

女性不妊の4大原因

女性が不妊となる場合、原因としては次の4つが考えられます。

1)排卵障害

2)卵管障害

3)着床障害

4)頸管障害

排卵について

生理が近づくと、卵巣内では、約20個の卵胞が成長をはじめ、その20個の中のたった1個だけが主席卵胞として選ばれ、排卵を待つことになります。

正常であれば、そのまま排卵することになります。しかし、その過程に障害があると、排卵は行われません。すなわち、卵胞を成熟させるための性腺刺激ホルモン、卵胞の成熟を脳に伝える卵胞ホルモン、卵巣に排卵の許可を与える黄体化ホルモン、といった各種ホルモンの分泌に異常があると、排卵が起こらなくなるのです。

あるいは、その他の異常として、基礎体温が低温期と高温期の2相性を示しているにもかかわらず、排卵が起こらない、いわゆる黄体化未破裂細胞(LUF)のケースです。

こういった排卵にともなう障害のことを排卵障害と呼びます。

排卵障害は、不妊症の原因のおよそ30%を占めています。

排卵障害の治療には、排卵誘発剤を使った治療が中心になります。

卵管障害について

卵管というのは、精子を待ち受ける場所です。

排卵された卵子は、卵管の先にある卵管采(らんかんさい)から卵管内部に取り込まれます。卵管采は、人の手のような形をした部分です。

卵管内に取り込まれた卵子は、卵管の壁面に生えている繊毛(せんもう)におされるようにして卵管膨大部(ぼうだいぶ)というところに移動し、ここで精子を待ち受けます。

ところで、卵管というのはとても細い部位です。そのため、ちょっと炎症を起こしたり、分泌物などの影響を受けて、内腔(ないくう)が狭くなったり、詰まったりすることがあります。そして、こうなると、卵子がここを通れなくなり、精子と受精することもできなくなってしまいます。

こうした障害のことを卵管障害と呼び、この卵管障害は不妊原因のトップになっています。

卵管造影検査などで卵管の異常が発見されたら、通水検査や通気検査と同様の手順で行われる通水法、通気法といった手術以外の方法で卵管の詰まりを改善させます。これを保存的療法といいます。

保存的療法が不適と判断されると、手術療法が選択されることもあります。

頸管障害について

膣内で射精された精子は、子宮口(しきゅうこう)を通って子宮に入ります。そして、子宮の一番奥にある子宮底(しきゅうてい)という幅の広くなっている部分を通り、左右両側に続く卵管に入っていきます。そして、卵管膨大部に進み、卵子と巡り会います。

ところで、子宮口に近い子宮の下半分の細くなっているところを子宮頸部といい、これは膣の中に突きだしています。子宮頸部の内腔は子宮頸管(しきゅうけいかん)と呼ばれていて、この子宮頸管から頸管粘液が分泌されて膣内を潤すのです。

通常、酸性に保たれている膣は、精子が長時間生存することができません。しかし、排卵期になると、頸管粘液の性質が変わって、酸性からアルカリ性になります。また、量も増えます。このことによって、精子が頸管内に入ってくるのを助ける役目を果たすわけです。

しかしながら、排卵期になっても頸管粘液の量が少なかったり、酸性からアルカリ性にならなかったりすることがあります。こうなると、精子は頸管内に侵入できなくなります。また、頸管内にできものがあったり、頸管の内腔が狭くなってしまったりすると、やはり精子は子宮内に侵入できないことになります。

あるいは、女性の体に抗精子抗体ができてしまい、その結果、男性の精子を異物と見なして受け付けなくなってしまうこともあります。

以上のような頸管にかかわる様々な障害のことを頸管障害と呼んでいます。

頸管障害の原因としては、子宮頸管の器質的な異常による場合と、機能的な異常による場合とがあり、それぞれ治療法が異なります。

たとえば、頸管内腔が狭くなっているような器質的な異常のケースでは、麻酔によって子宮頸管の内腔を広げる治療を行います。

一方、機能的異常の場合には、ホルモン補充療法とか抗生物質の投与といった、いわゆる薬物療法を行います。また、抗精子抗体のケースでは、人工授精、体外受精を行ったりします。

着床について

まず、着床のしくみについて。

卵胞が成熟すると、エストロゲン(卵胞ホルモン、E)が分泌され、子宮に働きかけて子宮内膜を厚くします。これによって、受精卵を受け入れる準備を整えます。

そして、排卵です。排卵が起こると、卵巣では卵子が飛び出した後の卵胞から、プロゲステロン(黄体ホルモン、P)が分泌されます。このホルモンによって、排卵があったことを子宮に伝え、子宮内膜をさらに厚くして、受精卵を待ち受けます。

ところが、子宮の形であるとか、子宮の位置などに先天的な異常がある場合、あるいは、子宮内膜症などの病気がある場合、さらに、子宮内膜を厚くさせるEやPなどのホルモン分泌に異常がある場合、子宮内膜は正常な変化を見せず(つまり厚くならず)、受精卵は着床することができなくなって、妊娠が成立しなくなってしまいます。つまり、授精があっても妊娠しない状態になってしまいます。

これを着床障害と呼んでいます。

子宮奇形、子宮内膜炎、子宮筋腫、子宮内腔の癒着などは、子宮の器質的な異常であって、こうした器質的な異常による着床障害では、手術療法が選択されるのが普通です(内膜炎は別)。

そのいっぽうで、機能的障害に分類される場合は、ホルモン療法によって治療していきます。機能的障害とは、子宮の正常なはたらきを促すホルモンの流れのどこかに異常がある場合をいいます。